DJ OSSHY TOKYOの未来に恋してる!
安心・安全・健康的なディスコ・カルチャーを伝達することを使命とするDJ OSSHYのインタビュー連載
ディスコ・ミュージックで受ける邦題の3大枕タイトルというのがあって。それは「恋」「愛」「今夜」です!!!
── 今回は「邦題」について色々とお聞きしたいのですが、昔は秀逸な邦題ももちろんありましたが、思わず笑ってしまうような邦題がたくさんあって、それはそれで楽しみというか、ひとつのカルチャーを形成していたと思います。
OSSHY そうですよね。今は邦題が話題になる事もそんなにないですが、70年代、80年代の洋楽には、原題がわからない邦題というのがたくさんありました。それはそれでユニークなカルチャーだと思います。
── あれはひとえにレコード会社のディレクターのセンスなんでしょうか?
OSSHY そういう部分は大きいと思います。その中で、ディスコ・ミュージックの3大枕タイトルというのがあって、それは「恋の~」「愛の~」「今夜は~」です。この枕タイトルがついたポップスやロックが、ディスコではよく流れる傾向がありました。ビー・ジーズ「恋のナイト・フィーバー」、ジャクソンズ「今夜はブギー・ナイト」、マイケル・ジャクソン「今夜はドント・ストップ」とかが有名ですが。ほら、ディスコってナイトクラブじゃないですか。そこで生まれるロマンスとかノリみたいなものを「夜」にフォーカスしたものが多かった。ディスコは男女の出会いの場所、恋が生まれる場所でもあるので、「恋の~」「愛の~」というタイトルの曲がディスコソングには本当に多いです。
「レッツ・オール・チャント(チャンタでいこう!)」
マイケル・ゼーガー・バンド(1978年)
写真のシングルは廃盤/東芝EMI(当時)
ちなみに僕の傑作邦題のナンバーワンは恋でも愛でも夜でもなく(笑)、マイケル・ゼーガー・バンドの「Let’s All Chant」(1978年)という曲があって、この邦題が「レッツ・オール・チャント(チャンタでいこう!)」っていう(笑)。なおかつジャケットの絵が、漫画家の黒鉄ヒロシさんが描いた麻雀の役の「チャンタ」ではなく、ダブル役満のテンパってる絵なんですよ(笑)。「レッツ・オール・チャント」と全く関係ないし、そもそも「チャンタでいこう」ってなんだ?と当時話題になりましたね。それから同じ頃、「今夜のあいつはセクシーチャンス」という邦題曲もあって。これはインスタント・ファンクの「I Got My Mind Made Up(You Can Get It Girl)」という曲で、原型が全くわからないというか、原題と全く結びつかない(笑)!
── こういう原題の跡形も残らないくらいの、突拍子もない邦題が多くて、でも面白いし、逆に覚えてしまいます。
OSSHY そう、全く跡形がない(笑)。“チャンタ”と“チャント”、全然意味が違うのに引っ掛けちゃうところが凄いです。こういう音感パターンはまだ色々あります。ゴー・ゴーズの「Our Lips Are Sealed」(1982年)の邦題は「泡いっぱいの恋」(笑)。「Our」が「泡」に近い発音で、この曲が収録されているアルバムのジャケ写が、お風呂をイメージさせる感じだったので、こういう邦題が付けられたのだと思います。
「おしゃれフリーク」
シック(1978年)
写真のシングルは廃盤/ワーナー・パイオニア(当時)
シックの「おしゃれフリーク」(1978年)ってあるじゃないですか。あの曲の原題は「Le Freak(ル・フリーク)」で、フランス語ですよね。当時は「Le」を英語読みで「レ」と読んでいた人が多くて、だから「レ・フリーク」と読んでしまう。それをおしゃれの「れ」と引っ掛けて、「おしゃれフリーク」にしたんです。これも原曲と全然関係ないパターンです(笑)。
── 当時シックの音楽って、おしゃれなイメージがあったので、そこからきていると思っていました。
OSSHY そういう事だと思います。シックの音楽はおしゃれ=「れ・フリーク」=「おしゃれフリーク」。面白いですよね(笑)。
── 行き過ぎた邦題(笑)には、アーティスト本人からもクレームが入るみたいで、シンディ・ローパーは自伝の中で、「ハイスクールはダンステリア」という邦題は原曲のイメージとあまりに違うのでクレームを入れて、修正させたと書いていますよね(笑)。
OSSHY そうなんですよ。確かに原題が「Girls Just Want To Have Fun」で、歌詞にはダンスも、ハイスクールも出てこないという(笑)。『ディスコ・フリーク』をはじめ、いま出回っているほとんどの作品は「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」のカタカナ表記になっているようですね。
「今夜はブギ・ウギ・ウギ」
テイスト・オブ・ハニー(1978年)
写真のシングルは廃盤/東芝EMI(当時)
── OSSHYさんの選曲・監修作品『ディスコ・ラヴァーズ』にも、不思議な邦題の曲が収録されていますね。
OSSHY たくさんあります(笑)。「恋の~」「愛の~」「今夜は~」だけ見てもテイスト・オブ・ハニー「今夜はブギ・ウギ・ウギ」(Disc1収録)、ルーファス&チャカ・カーン「愛のてごたえ」(Disc1収録)、ナラダ・マイケル・ウォルデン「恋のアタック」(Disc2収録)、チャカ・カーン「恋のハプニング」(Disc2収録)、チェンジ「恋のハッピー・パラダイス」(Disc2収録)、ラブ・マシーン「恋のショック」(Disc3収録)とかですね。
「すてきなSomebody」
ホイットニー・ヒューストン(1987年)
写真のシングルは廃盤/BMGビクター(当時)
インパクトではホイットニー・ヒューストン「I Wanna Dance With Somebody」が「すてきなSomebody」(Disc5収録)。うまいなと思うのは、やっぱりボーイズ・タウン・ギャング「Can’t Take My Eyes Off You」=「君の瞳に恋してる」(Disc3収録)。これはオリジナルもフランキー・ヴァリ時代から名題ですよね。詞の内容にも合っているし、なんといってもロマンティックですよね。
それと違う意味でウェザー・ガールズの「ハレルヤ・ハリケーン」(Disc6収録)も素晴らしい。原題は「It’s Raining Men」で、サビで<It's Raining Men! Hallelujah!>(ハレルヤ 男が降ってくるアーメン)って歌っていて、歌っているのがウェザー・ガールズだからなのか、雨、ハレルヤ、ハリケーンと、ちょっとよくわからないけど……うまい!という(笑)。
「ハレルヤ・ハリケーン」
ウェザー・ガールズ(1983年)
写真のシングルは廃盤/CBS・ソニー(当時)
── もうシャレの世界ですよね。
OSSHY まさに。トーマス・ドルビーの「She Blinded Me With Science」が「彼女はサイエンス」になったり、コン・ファンク・シャンの「Too Tight」は「タイトなあの娘(こ)」(Disc1収録)とかも、意味がわかるようでわからない(笑)。
── OSSHYさんはレコード会社から依頼されて、邦題を付けるというお仕事の経験はあります?
OSSHY やった事ないんですけど、でもやってみたいですね。僕はどちらかというとクールな、カッコつけた感じのものを作りそう(笑)。邦題も面白いのですが、当時LPレコードの帯に書かれていたキャッチコピーも面白いものがたくさんありますよね。何を言っているの? 的な(笑)。けっこうクサいんですよね。AORものに多かった気がしますが、今思うと、それも80年代のひとつの象徴だった気がします。
── 面白い邦題もキャッチコピーもまだまだたくさんありそうですね。
OSSHY ありますね。プリンス「ビートに抱かれて」とかロックまで拡げたらもうキリがないですよ(笑)。それに、このお題お酒飲みながら話したほうが絶対おもしろいですよね(笑)。(つづく)
インタビュー・文/田中久勝
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9月22日(金) | ナバーナマンスリーパーティー@ESPRIT TOKYO |
9月23日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 14:00-17:00 生放送 |
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9月30日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 14:00-17:00 生放送 |
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10月20日(金) | ナバーナマンスリーパーティー@nishiazabu alife |
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