DJ OSSHY TOKYOの未来に恋してる!
安心・安全・健康的なディスコ・カルチャーを伝達することを使命とするDJ OSSHYのインタビュー連載
80年代前半の日本のディスコはまさしくメディアでした。フロアから多くのヒット曲が生まれましたが、全米チャートなどではチャートインすらしていなかったなんてこともよくありましたね。
―― ディスコ発信のヒット曲も多く生まれました。80年代当時はフロアがメディアとして成立していましたね。
OSSHY そうですね。80年代前半当時のディスコの位置づけは発信側、まさしくメディアだったので、そこで毎夜のように多くの新曲が流されていました。ラジオやテレビで音楽を聴く時代に、「ディスコでこの曲を知った!」という人も多かったはずです。僕も若い頃はディスコに行って、曲をメモって、翌日お店に行ってレコード盤を買うということを繰り返していました。面白いことにディスコの中では、お客さんも盛り上がるのに全米チャートなどではチャートインすらしていなかったなんてこともよくありましたね。
ボーイズ・タウン・ギャング
「君の瞳に恋してる」
(1982年)*写真のアナログは廃盤
*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc3に収録
一番わかりやすいのが、ボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」。1967年のフランキー・ヴァリのカヴァーで、イギリスでは大ヒットしていながらも(1982年8月全英4位)、アメリカではシングル・カットされているかどうかも定かではない。ちなみに日本では「君の瞳に恋してる」はオリコン洋楽チャートの1位(1982年12月)を記録しています。これはまさにディスコが生んだヒット曲。日本発ディスコならではの、音楽カルチャーですね。
―― OSSHYさんはDJ修業時代、先輩から「そのアーティストのアルバムを聴け」とよく言われていたとおっしゃっていましたが、そのことが良曲、名曲の発掘につながったのではないでしょうか。
OSSHY そうかもしれません。世間では全然大きなヒットになっていないのに、ディスコで流行っていて、同じ時代から活動しているDJ同士だとそういう話にもなるし、一般の方でも時代の曲の話になると「当時よく踊ったよ、この曲で……」とか、話に花が咲く曲というものがたくさんあって、すごくユニークな時代とシーンだったなぁと思いますね。ちなみに“発掘”は今も続けていますよ(笑)。
ルーサー・ヴァンドロス
『ネヴァー・トゥー・マッチ』
「スーパー・レディ」ほか収録
(1981年発表)
*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc4に収録
―― いちばん話に花が咲くのは、日本ではディスコ・フリークなら誰もが知っている曲だけど、全米チャートでは全然話題にならなかったタイプの曲ですね。
OSSHY そうです!例えば前回連載の“振付”の回でも紹介したルーサー・ヴァンドロスの初のソロ名義アルバム『ネヴァー・トゥー・マッチ』(1981年)。ここから初めにシングル・カットされたのは表題曲。でもディスコではアナログB面の1曲目に入っている「スーパー・レディ」をかけていて、それがお客さんの間では熱狂的に盛り上がっていたんです。当然「ネヴァー・トゥー・マッチ」もかけていましたが、でもシングル・カットされていない「スーパー・レディ」のほうがフロアでは盛りあがっていた。まさに、ディスコ・ヒットの展開ですね。
―― 当時はまだなかった、FM局の「パワープレイ」のような感じで、そこからヒットが作られていく、ディスコはまさにメディアの一翼を担っていました。
OSSHY その場でリスナーが身体で反応するわけですから、本来の音楽メディアとしてのあるべき姿だと思います。だからディスコのDJというと、余計なことはあまり喋らないラジオDJのような、そういう位置づけでした。いわゆるラジオDJっていうと当時は糸居五郎さんのような、一曲かけて解説して、また一曲かけて解説という感じでしたが、ディスコの場合は3~4曲つなげたり、さりげなく曲紹介をMCで入れたり、ベタにしゃべっていなかったので、そこからライトな情報を得るという人もいたと思います。
アヴェレイジ・ホワイト・バンド
「レッツ・ゴー・ラウンド・アゲイン」
(1980年)*写真のアナログは廃盤
*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc3に収録
―― そこで情報をゲットして、レコードを買いに行って、買ったレコードのクレジットを見て、プロデューサーが誰とか、このミュージシャンが参加しているとか、色々な情報を得るという時代でした……『ディスコ・ラヴァーズ』に収録されているアヴェレイジ・ホワイト・バンドの「レッツ・ゴー・ラウンド・アゲイン」は、デヴィッド・フォスターのプロデュースだったんですね。勉強不足でした。今さら(笑)。
OSSHY いえいえ『ディスコ・ラヴァーズ』で発見があったのなら本望です(笑)。「レッツ・ゴー・ラウンド・アゲイン」が入っている『シャイン』というアルバムが、1980年発売なので、デヴィッド・フォスターがエアプレイのメンバーだった時のプロデュース作品ですね。彼はAORのイメージがありますが、いわゆるディスコ調の曲もたくさん手がけています。メロウでロマンティックなサウンドを作るにあたって、スローもミディアムもダンスも関係なく最高のフォスター節を聴かせてくれます。
シェリル・リン
「イン・ザ・ナイト」
(1981年)*写真のアナログは廃盤
*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc4に収録
―― 「レッツ・ゴー・ラウンド・アゲイン」もイントロがゴージャスで、ディスコで人気の曲って大体イントロがポイントになっている曲が多いですよね。
OSSHY おっしゃる通りで、イントロでどれだけフロアに人を集められるかが勝負です。イントロを聴かせたいから、この曲はミックスはご法度という曲が、実はディスコで人気の曲にはたくさんあって。これはど頭からカットインだろうっていう。シェリル・リンの「イン・ザ・ナイト」はまさにその典型で、あれを曲の途中からミックスするDJは邪道だと思います(笑)。
ジョージ・デューク
「シャイン・オン」
(1982年)*写真のアナログは廃盤
*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc5に収録
ど頭からいかなければいけない曲ってあるんです。シック「おしゃれフリーク」やジョージ・デューク「シャイン・オン」もそう。あのドラムのスネアだけで人がフロアに集まってきます。イントロ・インパクトとでもいうべき曲はたくさんあります。だから、なんでもかんでもミックスすればいいというものではありません。カットインというテクニックや、フェードアウト、フェードイン、カットアウト、その曲に向いている入りかた、終わりかたがどの曲にもちゃんとあるので、そこがDJの腕が問われるところです。次回は泣く子も踊りだす必殺チューンのお話をたくさんさせてください! (つづく)
インタビュー・文/田中久勝
DJ OSSHY 出演スケジュール
6月28日(水)、 7月5日(水) | TOKYO FM「Life on the Wheels powered by NAVI CARS」 (2週連続ゲスト出演) |
---|---|
7月6日(木) | 静岡第一テレビ「まるごと」ゲスト生出演 |
7月7日(金) | ナバーナマンスリーパーティー@nishiazabu alife |
7月16日(日) | "バブリーディスコナイト"@ ホテルコンコルド浜松 |
7月21日(金) | ナバーナマンスリーパーティー@ESPRIT TOKYO |
7月23日(日) | IKURA's American Festiva2017 7/23@富士スピードウェイ |
7月26日(水) | Dynasty Tokyo Surfer's Night @ 恵比寿act*square |
7月30日(日) | サンデーディスコ@nishiazabu alife |
8月14日(月) | 80's Night Fever in CITTA' 2017 |
イベントは変更になることもございます。
詳しくはDJ OSSHY公式サイト(www.osshy.com) をご参考ください。