DJ OSSHY TOKYOの未来に恋してる!
安心・安全・健康的なディスコ・カルチャーを伝達することを使命とするDJ OSSHYのインタビュー連載
80年代に流行っていた曲をそのままプレイするのではなくて、現代風にアレンジして、今のディスコを盛り上げていくというのが自分の使命のひとつ。
―― 『ディスコ・ラヴァーズ』には、人気曲の中にはオリジナル・ヴァージョンではなく、リミックス・ヴァージョンが収録されているものもあって、なぜオリジナルではなく今はリミックス・ヴァージョンの方が人気なのでしょうか? 以前「飽きている」とおっしゃっていましたが、もう少し詳しく教えていただけますか? それとどういうリミックスが人気なのでしょうか?
OSSHY 僕は80年代にディスコ・デビューして、90年代は10年間くらいクラブDJとして当時のR&Bをずっと流していました。2000年に入ってからはまたディスコでDJをやる機会が増え、今に至っていますが、10年間のクラブDJ時代はありましたが、それを除くと25年間くらいは80年代のディスコ・ミュージックをずっとかけていて、80年代ディスコ全盛時代から通われているお客様の空気感というか、現場で選曲のキャッチボールをしていると、定番と言われている曲は30年も踊り続けているとさすがに飽きてくるんです。飽きるのは当然ですが、定番曲はやはり破壊力抜群なので、かけるとウケます。僕達DJも、お客さんも飽きて、嫌になってしまっているというのはあります。でも『ディスコ・ラヴァーズ』に収録されている曲は全て“リアル”に盛り上がる曲です。2008年頃からリアルディスコ世代の人は、定番曲に少し新しいフレーバーを加えたリミックス・ヴァージョンを、チャレンジとして聴きたいと思い始めたからです。
―― とはいえ、年を取ってくると多くの人がどうしても新しいものへの拒否感が強くなるというか、受け入れる事に抵抗が出てきますよね。
OSSHY そうなんです。なのでヴァージョン違い、リミックスでウケているのは、あくまでも原曲に忠実なものです。10代や20代の人なら、白から黒に変えても全然対応できると思いますが、もう中高年になると、そういうオセロ的なことは理解してもらえず、間をとって灰色的な事で啓蒙していく動きにしないと、ついていけないんです。リミックスは基本的には楽曲の成分を構成し直すもので、全然原曲と違ったものができあがることも多々あって、でも僕が言っているリミックス違いというのは、オリジナルに忠実なリミックスです。打ち込みがやや強くなっているとか、微妙にリズムが変わっているとか。重要なところは、リズムトラックのドラムの部分が今っぽい打ち込みの強さになっているところです。
―― ヴァージョンが違いすぎてはいけないと。“塩梅”が大切という事ですね。
OSSHY そうなんです。僕達DJは、30年間ディスコに通い続けている常連さんのコミュニティの反応も意識しつつ、新しいお客さんの反応もみなければいけません。もちろん常連さんたちを無下に扱うわけにはいかないので、常連さんたちが何をいま求めているのかというのを、常にリサーチしながら、新しいお客さんもまた来てもらえるように反応を意識していかなければいけません。新しいお客さんの方ばかり気にかけて選曲していると、常連さんたちは敏感なので、フロアが盛り上がらなくなります。そこの目利き、バランス感覚がすごく大事で。そういう時、リミックス違いというのはすごく大きなヒントになっていて。2000年の半ばぐらいにトム・ブラウンの「ファンキン・フォー・ジャマイカ」という定番曲の“1991 7" REMIX”という、’91年にリミックスされたヴァージョンを僕がかけ始めたのが、“リミックス啓蒙計画”の第一歩です。
「Funkin’ For Jamica(1991 7“Remix)」TOM BROWNE(輸入盤)*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc4に収録
―― この曲はクラブで人気でしたよね?
OSSHY そうです。90年代はR&Bやアシッドジャズのムーメントが起きて、ドライザ・ボーンというリミックス職人のような人が、「ファンキン・フォー・ジャマイカ」のリミックスをしました。彼はR&B、アシッドジャズ畑の人で、当時のR&Bの音作りが得意で、それを90年代っぽい音にしました。当然リアルディスコ世代の人達からすると、オリジナル・ヴァージョン(1980年)へのこだわりがすごくあって、リミックスは邪道だと。そういう中でリミックスをかけるのは、相当勇気が必要でした。クラブ時代の’91~’93年頃に、リミックスとかカヴァーがムーブメントになった時代がありました。その時にこういうリミックスがたくさん生まれました。でもディスコの現場では誰もかけていませんでした。2000年頃のディスコは、80’sディスコのリバイバルが人気だったので、リミックスものをかけると「なんだよこれ」という反応でした。基本はオリジナルをかけていますが、その中で時々リミックスを挟んで、啓蒙していきました。それを繰り返しているうちに、お客さんの耳が慣れてきて「ファンキン・フォー・ジャマイカ」はリミックス・ヴァージョンが普通になってきましたが、結構時間はかかりました(笑)。でも時代は変わってきていますので、80年代に流行っていたものを、そのままやるのではなくて、現代風にアレンジして、80’sディスコを盛り上げていくというのが、自分の使命のひとつだと思いました。
オリジナル「ロング・トレイン・ランニン」を含む
ドゥービー・ブラザーズの名盤『キャプテン・アンド・ミー』*「ロング・トレイン・ランニン(ギター・ミックス)は『ディスコ・ラヴァーズ』Disc2に収録
―― ド定番のリミックスといえば、『ディスコ・ラヴァーズ』にはドゥービー・ブラザーズの「ロング・トレイン・ランニン」も、“ギター・ミックス”が収録されています。この曲は他にもリミックス・ヴァージョンが存在するんですか?
OSSHY いえ、ないと思います。これも90年代のリミックスで、かなりレアです。CD化もされていなくて、12インチのアナログ盤しかなく、今回の『ディスコ・ラヴァーズ』に収録する許諾をいただく事ができた、かなりレアな一曲です。
「Sky High(Pete Hammond Mix)」JIGSAW(輸入盤)*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc3に収録
―― ジグソーの「スカイ・ハイ」の“ピート・ハモンド・ミックス”というのも珍しいですよね
OSSHY これはPWL=ストック・エイトキン・ウォーターマンという、ユーロビート全盛時代の音楽プロデューサーチームの一人、ピート・ハモンドが作ったリミックスで打ち込みがかなりタイトになっています。
「コパカバーナ」バリー・マニロウ(国内盤/廃盤)*『ディスコ・ラヴァーズ』Disc5に収録
―― ただ、メロディやサビは、あまりいじっていないというか、原曲のままで。
OSSHY そういうさじ加減が大切なんです。やりすぎて新曲のようになってしまうのはご法度です。メロディもボーカルも変わらずに、打ち込みのビートだけ強くなっているとか、そういう程度のものだと、往年のディスコファンもフロアでついていけるのが今挙げた3曲です。それとチャカ・カーンの「スルー・ザ・ファイアー」という定番中の定番曲がありますが、そのダンス・カヴァーがあって。これはGTSという日本のDJ&ハウスミュージックユニットグループが作ったのですが、オリジナルはデビッド・フォスターが作ったスロー・バラードです。それをBPM122くらいの完全にダンス・ヴァージョンになっていて、これを流すとすごく盛り上がります。あとバリー・マニロウのおなじみのナンバー「コパカバーナ」もそうです。これも90年代にリミックス盤が出て、今でもそれをかけています。そちらの方がビートがタイトで、踊りやすいです。当然原曲で踊っていて、はじけていたわけですから、それが体に染み込んでいて、新しい打ち込みモノを聴いた時に常連さんは、最初違和感を感じますが、繰り返し聴いていくうちに、これが新しいんだなと、自分の中でも徐々に受け入れようという気持ちになっていくのだと思います。ちなみに『ディスコ・ラヴァーズ』に収録されているのは’78年のヴァージョンです。(つづく)
インタビュー・文/田中久勝
DJ OSSHY 出演スケジュール
5月31日(水) | @大阪ADAM Lounge |
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6月2日(金) | ナバーナマンスリーパーティー@CLUB SIX TOKYO |
6月3日(土) | 関東600万会員記念イベント「JAF 80’s Disco!」in横浜ベイホール |
6月4日(日) | SOUL BAR BOOGIE 3rd ANNIVERSARY PARTY 友情出演@ club area |
6月16日(金) | ナバーナマンスリーパーティー@nishiazabu alife |
6月18日(日) | “NIGHT FLIGHT PARTY”-Summer-GRAND COURT DISCO 70’s-80’s DISCO HITS@ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋 |
6月23日(金) | DISCO XEX produced by XEX ATAGO GREEN HILLS |
6月25日(日) | サンデーディスコ@nishiazabu alife |
イベントは変更になることもございます。
詳しくはDJ OSSHY公式サイト(www.osshy.com) をご参考ください。