ジャズメガネのセンチなジャズの旅
18.「慕情/菅野邦彦 トリオ+1」1974年録音
菅野邦彦。高校時代には縁遠い感じがしていた。大人のお洒落なジャズ。侍ジャズといったイメージの荒々しいジャズに憧れていた少年には大人のジャズは分からなかったのだ。ビハインド・ザ・ビート奏法と言われたエロール・ガーナー直系のリッチなピアノ・スタイルは少年 の心に刺さる訳もない。でも、大好きだった鈴木勲さんの「ブロー・アップ」にピアニストとして参加したアルバムを高校3年の時に買って、その菅野さんは大好きになった。特にスウィングする「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー」と切ない「言い出しかねて」が大好きだった。いつも聞いていた。ただ、菅野さんというアーティストの大人の洒落た演奏が理解出来るようになったのはずっと後のことになるのだ。
text & cut by Kozo Watanabe