ジャズメガネのセンチなジャズの旅

16.「モーニング・フライト/福村博クインテット」1973年録音
16.「モーニング・フライト/福村博クインテット」1973年録音

   1970年代、渡辺貞夫さんは自分のバンドに積極的に若手を起用した。起用された若手は激しい緊張感を感じながらも一夜にしてスターになる。貞夫さんがアフリカもののオリジナルを中心に活動していた1970年代初期、彼のクインテットにはトロンボーンの福村博とピアノの板橋文夫が抜擢された。二人ともパワフルでフレッシュで、魅力的なコンボだった。

  高校1年生の時、日比谷野音のジャズフェスに行って、このグループの写真をたくさん撮り、今でも大切にとってある。福村さんはその後、同じトロンボーンの向井滋春さんと双頭コンボを作り、TBMとTRIOに同クインテットの作品を残す。こちらのグループもピアニストの田村博さんがまだ学生で若いバンドの勢いがあった。福村さんはその後、渡米。向井さんはフュージョン時代にかけて人気アーティストとなり、僕も彼と仕事としてベターデイズ・レーベルで関わるようになった。

text & cut by Kozo Watanabe