ジャズメガネのセンチなジャズの旅
15.「トキ/土岐英史カルテット 」1975年録音
貞夫さんが雲の上の存在だった頃、二人の先輩的なアルト奏者が日本のジャズ界に現れた。土岐英史と大友義雄だ。二人とも貞夫さんの影響下にあって、大友さんは水橋孝さんのカルテットでスターになり、土岐さんは渡辺香津美さんとのカルテットでデビュー・アルバムを作った。二人とも大学生だった僕にとってはより身近なお手本でそのアドリブやレパートリーも真似したものだった。土岐さんのオリジナルはモーダルな曲が多く、ソプラノを手にするとコルトレーン・スタイルに変わることもあり、いろいろ研究したものだ。
TBMの「TOKI」や水橋孝カルテットの「Who Cares」はよく聞いた。その当時は聞いたことがなかったが、土岐さん、大友さんの二人のバトルをライヴ録音した「Lover Man」も再発に関わることになった。日本のジャズ界が高度成長期に入った頃の話だ。
text & cut by Kozo Watanabe