ジャズメガネのセンチなジャズの旅

10.「ミスター・ワンダフル/細川綾子」
10.「ミスター・ワンダフル/細川綾子」

   細川綾子さんについてはセンチな想い出を綴るほど、若い頃に聴いたことはなかった。それが今回のレコード再発の仕事をしている最中に偶然来日ライヴを聞けることになり、終演後にいろいろなお話も聞ける機会にも恵まれた。

  「ミスター・ワンダフル」が1977年の録音でデビュー・アルバムなのでそのキャリアの割には遅いデビューなのだが、その訳はジャズが大好きだった彼女は1961年にはもうアメリカに行ってしまっていたからだ。その後、1967年からアール・ハインズ楽団の専属歌手を勤め、まだ人種差別の酷い時代を生き抜いてきたのだという。その歌唱力は本場仕込みの実力。そして、キュート。日本では馴染みの薄いヴォーカリストである彼女の代表作「ミスター・ワンダフル」は今、クラブ・シーンで人気があるという。これから追いかけます。縁は異なもの。。

text & cut by Kozo Watanabe