第22回「彼女のミステイク」放送後記 from 土橋一夫
「POP FILE RETURNS」第22回放送、お楽しみ頂けましたか? 今回は1984年7月リリースのアルバム『Beat City』についてのお話でした。L.A.録音のこのアルバムはダニー・クーチ(コーチマー)がギタリストとして参加していることでも知られるものですが(「彼女のミステイク」のギター・ソロは彼によるものです)、レコーディング・セッションはギャラの関係から2時間を超えないで欲しい、と言われていたことや、意外にもすぐにフレーズが決まって弾いてしまった時の様子など、今回も貴重なお話が飛び出しました。L.A.録音を選んだことのその裏には佐野元春さんのニューヨーク録音作品『ヴィジターズ』の影響があったことも、今となっては納得できることですが、今回の放送を聴いて改めてしっくりとくる部分もありました。マーク・ゴールデンバーグやクリトーンズの話もそうですが、銀次さんのサウンドの裏には常に洋楽の影響が色濃く反映されています。1983年にニューヨークにいた佐野元春さんと、その翌年にL.A.でレコーディングをしていた銀次さん、という構図を考えながらその辺りにまで幅を広げて聴いていくと、きっと新たな発見があるはずです。それから打ち込み用のガイドの信号を日本で予め入れておいたのにも拘わらず、セカンド・エンジニアのピーター・ルイスがノイズと間違えて全部消してしまった話や、それにもめげずに打ち込むはずだったフレーズを全て手で弾いた国吉良一さんの話(「テクノ・ポップは手で弾くものだ」発言も!)や、レコーディングしたスタジオは偶然にもハル・デヴィッドの息子さんが経営するものだったなど、今回も驚きの証言満載でした。当時のPVの話も爆笑ものでしたね。
さて「POP FILE RETURNS」では皆様からのご意見やご要望もお待ちしております。是非番組ホームページの「投稿フォーム」からお寄せ下さい。
それから過去の放送の再配信についてのご意見を多数お寄せ頂きまして、ありがとうございました。皆様のお陰をもちまして、先週から再送信もスタートしております。各回1週間限定の公開ですので、くれぐれもお聴き逃しのないように。それでは第23回目の放送をどうぞお楽しみに。