第76回 「VISITORS/佐野元春」特集その1 放送後記 from 土橋一夫
「POP FILE RETURNS」第76回放送、お楽しみ頂けましたか?今回からの2回は、音楽評論家の能地祐子さんをゲストにお迎えしまして、佐野元春さんの『VISITORS』についての話題をお届けしております。ちょうど10月29日に『VISITORS DELUXE EDITION』がリリースされますので、今回はその話題を中心に、『VISITORS』がリリースされた当時の話を3人でたっぷりとお届けしました。ニューヨークに単身渡りレコーディングされ、1984年に発表されたこのアルバムは、当時もファンとシーンに大きな衝撃を与えましたが、今回の放送では渡米前の佐野さんの様子や、今とは違って当時の1年間アメリカに行くということの大きさ、完成した『VISITORS』を能地さんが初めて聴いたときのインパクトと周りの様子、帰国後の佐野さんと銀次さんとのやり取りから、銀次さんの後任のギタリストとしてザ・ハートランドに加入した横内タケさんとの不思議な繋がりなど、この番組ならではのエピソード満載でした。当時、ニューヨークの最先端を行く音楽であったヒップホップや、インディーズ・シーンからの息吹を採り入れ、それらをいち早く消化して作品に投影した『VISITORS』は、時代をリードする作品として捉えられていましたが、歳月を経て聴き手の理解が次第に深まった今聴くと、また新たな一面が見えてくるものだと思います。特にジャズ・ファンクやヒップホップなどのリズムを採り入れ、前面に押し出したアレンジは、今の若い音楽ファンにも新鮮に映るはずです。それと同時に、当時NHK FMで放送されていた「SOUND STREET/MOTOHARU RADIO SHOW」を通じて佐野さんが自ら発信していた音楽、これが今思えば佐野元春の音楽とそのバックボーンを理解する上での最高の教材だったと思います。能地さんが話されていた、この番組で佐野さんがインタヴューしたセントラルパークの山羊さんを探す当時の女性元春ファンの心理、こういう当時のエピソードもとても楽しいものでした。
さてこの番組のセカンド・シーズンでは、皆様のアイディアを元にした特集をどんどん考えて行きます。皆様からのご意見やご要望、採り上げて欲しい内容、ゲストのアイディアなどをお待ちしておりますので、是非番組ホームページの「投稿フォーム」からお寄せ下さい。「POP FILE RETURNS」は、リスナーの皆様からのリクエストやお便りで成り立っております。また過去の放送の再配信も期間限定ですがスタートしておりますので、是非チェックしてみて下さい(スマートフォンにも実験的にですが対応しております)。それでは次回の放送(能地祐子さんをお迎えしての後編です)をどうぞお楽しみに。