第77回 「VISITORS/佐野元春」特集その2 放送後記 from 土橋一夫
「POP FILE RETURNS」第77回放送、お楽しみ頂けましたか?今回も前回の放送に引き続き、音楽評論家の能地祐子さんをゲストにお迎えしまして、佐野元春さんの『VISITORS』についての話題をお届け致しました。10月29日に『VISITORS DELUXE EDITION』がリリースされますが、ここに収められた当時の音源やライヴ活動について、そして帰国後の1985年5月に品川プリンスホテル・アイスアリーナにて銀次さんをゲストに迎えて行われたライヴ音源から「夜を駆けぬけて」(これは『VISITORS DELUXE EDITION』には未収録/初出音源)も聴きながら、この当時『VISITORS』がどんな形でシーンやファンに迎え入れられたのか、その反応はどういったものだったのかということを、アーティストとして近い立場から見ていた銀次さんと、当時のファン目線的な捉え方での能地さんと私の視点、といった感じで、とても楽しい放送になりました。当時をタイムリーで知る方には懐かしく、さらに新たな発見もあったのではと思います。この2回の放送を通して私が強く思ったこと、それは時を経てから改めて、当事者側と当時受け取る側だった人達がクロス・トークすることで、その時の状況がより立体的に見えてくる、ということでした。個人的な話で恐縮ですが、以前Hi-Fi Record Store店主の大江田信さん(ご自身も林亭として音楽活動をされ、レコード会社のディレクターなどを経て現在は渋谷で輸入レコード店を経営されています)と雑談した時に、ディレクターとして音楽を作る上で一番大切なことは何ですか?という質問をすると、大江田さんは「ファン目線を忘れないことだ」と言われました。番組収録の帰り道、今回の放送内容とリンクするその言葉が私の中でフィードバックされ、とても印象的な1日となりました(ちなみにこれも不思議な縁ですが、大江田さんはコロムビア時代の佐藤奈々子さんのディレクターでもあり、奈々子さんに曲提供をしていた、若き日のデビュー前の元春青年を知る人でもありました)。
さてこの番組のセカンド・シーズンでは、皆様のアイディアを元にした特集をどんどん考えて行きます。皆様からのご意見やご要望、採り上げて欲しい内容、ゲストのアイディアなどをお待ちしておりますので、是非番組ホームページの「投稿フォーム」からお寄せ下さい。「POP FILE RETURNS」は、リスナーの皆様からのリクエストやお便りで成り立っております。また過去の放送の再配信も期間限定ですがスタートしておりますので、是非チェックしてみて下さい(スマートフォンにも実験的にですが対応しております)。それでは次回の放送をどうぞお楽しみに。次週は遂にエンジニアの吉田保さんが登場します!