放送後記 from 能地祐子
『NIAGARA CD BOOK2』を特集するにあたって、この番組ならではの切り口でやりたいよね……ということは前々からスタッフとも相談していたのですが。と、同時に、銀次さんのもっとも古い音楽仲間である上原“ユカリ”裕さんにゲストに来ていただいて、おふたりの歴史をまじえた音楽談義なんて楽しそうだなぁというプランもあったのです。ならば、そのふたつの企画を合体させてしまおう!ということになりました。まさに、これは『POP FILE RETURNS』だからこそ実現した顔あわせ。銀次さんと共にバンド“ごまのはえ”メンバーとして大阪から上京、その後は数え切れないほど多くのライブやセッション、スタジオワークで活躍してきた上原“ユカリ”裕さん。我が国が誇る、最高のドラマーのおひとりです。日本に暮らしていて、上原さんのサウンドを耳にしたことがない人はいないはず。大滝詠一さんにとっても、ナイアガラ・セッションに欠かすことのできない大切なミュージシャンのおひとりでした。
今回はマニアも必聴のエピソード、もりだくさんです。上原さんだからこそ語れる、ナイアガラ・セッションの内側から見たナイアガラ・サウンドについて。ドラマーとして見た、プロデューサー大滝詠一の素顔。などなど。そしてもちろん、私たちの知らない銀次さんのエピソードの数々も! 10代とハタチそこそこで出会って以来、40年以上にわたるおふたりの会話は何とも絶妙で最高でした。私も横で大爆笑したり、ホロリとしたり……。この幸せな空気感、リスナーの皆さんにもきっと伝わることと思います。収録中、上原さんがプレイした大滝作品をかけるたびに銀次さんが嬉しそうな笑顔で「ユカリの音だよ。これはもう、ユカリとしか言いようがないよねぇ」と何度もおっしゃっていたのが印象的でした。番組の中で銀次さんが、上原さんの魅力を「ユカリのドラムには“歌”がある」「演奏で会話ができるドラマー」と表現されていますが。まさに。ドラム・サウンドに耳を集中させて『ロンバケ』や「幸せな結末」を聴いていると、なぜこれほどまでに大滝詠一さんが上原さんのプレイを愛していたかがおわかりいただけることでしょう。
《銀次のオススメ》では、おなじみオーダーメイド・ファクトリーで商品化が決定したガロのオリジナル・アルバム8枚組、『GARO ORIGINAL ALBUMS 1971-1975』をご紹介しましたが。なんと、アルバム『吟遊詩人』には銀次さんと上原さんが参加されているのです。今回は上原さんが「レコーディング以来、初めて聴くかもしれない(笑)」とおっしゃっていた、その曲をおかけしました。なお、ひとつお詫びを。放送中、私が「『吟遊詩人』はファースト・アルバムなんですか?」と、お聴きの皆様には誤解を招くような訊き方をしてしまいました。7枚目のオリジナル・アルバムです。混乱されたらすみません。
番組では、みなさまからのメッセージをお待ちしております。前回、佐藤善雄さんの回も「楽しかった!」というお声をたくさんいただき嬉しいです。お聞きになっての感想、こんなゲストを呼んで欲しい、アンコール放送のご希望などなど、このページのメッセージフォームからお送りいただけると幸いです。また、全国津々浦々と旅して回る銀次さんのライブをご覧になった感想など、目撃情報(笑)もぜひお寄せください。
今回、100回目の予告もちらっとあります……むふふ。そして次回はついに99回! 引き続き、上原“ユカリ”裕さんをゲストにお招きします。話題はナイアガラからさらに深~いところに。若き日の上原さん、銀次さんのエピソード満載でお届けしますよ。お楽しみに!