ジャズメガネのセンチなジャズの旅

136. 「ヤマ&ジローズ・ウェイヴ / ガール・トーク」
136.  「ヤマ&ジローズ・ウェイヴ / ガール・トーク」

   山本剛さんはTBMに多くの人気盤を残した。初期の『ミッドナイト・シュガー』と『ミスティ』は不朽の名盤となったが、TBMでのリーダー・アルバム第6作、1975年録音のこの『ガール・トーク』はお洒落度においては特に秀でている。何といってもジャケットからしてお洒落。二人の女性がガール・トークをしている様に惹きつけられる。
 〈ガール・トーク〉は山本さんが敬愛するオスカー・ピーターソンにも同タイトルのアルバムがあるが、そちらのジャケットは黒人の少女が微笑むポートレート。それもまた可愛い。演奏はもちろん、どちらもリラックスしていて、小気味良くスウィングしている。
   山本剛の『ガール・トーク』は選曲が全てお洒落。冒頭の〈追憶〉はその美しいメロディーと共に現在の彼のライヴでも人気の一曲となった。その他、〈アイ・ラヴ・ユー・ポーギィ〉、〈ニューヨークの秋〉と言ったバラードも柔らかなタッチで癒される。〈A列車で行こう〉のイントロのフリー・スタイルは意表をつかれるが、あっという間にスウィングしてくる。これもやはり名盤だ。

text & cut by Kozo Watanabe