ジャズメガネのセンチなジャズの旅
134. 「土岐英史カルテット / トキ」
土岐さんが亡くなられて、もう3年以上も経つが、いまだにどこかで演奏されているような気がする。土岐さんの残した音色やフレーズは私の脳内には残っているし、彼の弟子たちの土岐ライクなプレイもいろいろなところで聴くことができるからだ。個人的にはそんなに面識はなかったものの、1975年リリースのこのアルバムと私の出会いはジャズ研一年目の時。学生の間で大人気のアルバムで先輩たちはこのアルバムの収録曲をこぞってコピーして演奏していた。特に〈ブルース〉は意外と難しいリフだったが、セッションでもよく演奏されたし、コルトレーン・ライクなソプラノ・サックスでの〈オールド・ソング・ブルース〉もよく演奏されていた。一年生の自分も早くあんな風に吹きたいなぁ、と憧れていたものだった。再発されて、改めてまた土岐さんに憧れる学生たちがいるんだろうな、と思うと感慨深い。
text & cut by Kozo Watanabe