1970年代後半、TOKYOの最先端サウンドを創り出していたサウンドクリエイターたちが集結したインストアルバムの隠れた名盤が、30年の時を経て最新リマスター、次世代高品質CD「Blu-spec CD2」で蘇る。
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坂本龍一&カクトウギ・セッション
1970年代後半、TOKYOの最先端サウンドを創り出していたサウンドクリエイターたちが集結したインストアルバムの隠れた名盤が、30年の時を経て最新リマスター、次世代高品質CD「Blu-spec CD2」で蘇る。
金沢寿和氏による解説は南太平洋の美しい海をテーマに、細野晴臣、鈴木 茂、そして何と山下達郎が書き下ろし作品を提供した、貴重なシリーズ第1作。細野はちょうどYMOの準備中で、担当3曲をすべて坂本龍一、高橋ユキヒロ+αで制作している。黎明期の電子楽器とマーティン・デニー譲りのエキゾティック・サウンドを掛け合わせたアイディアは、既にここで具現化。YMOのデビュー作『イエロー・マジック・オーケストラ』に収めた<コズミック・サーフィン>も、実はこのオムニバスで初披露されていた。トロピカルなソロ3部作からYMOに至るプロセスの一部が、このアルバムから垣間見えるワケである。一方の達郎はサーフィン系のシエスタ・ソングとオールディーズ調のポップ・インストを甘美なサマー・メドレーに仕立て(一部コーラス入り)、<キスカ>では浮遊感溢れるクロスオーバー・サウンドを提示。鈴木 茂はトロピカルなファンキー・インストを3曲収録している。ただの南国イメージ作だと思ったら大間違いの、超ナイスな冒険作。
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日本のフュージョン・シーンのトップランナーたる8人のギタリストが集まり、ニューヨークにインスパイアされた楽曲を1曲づつレコーディングしたシリーズ第2作。集まったのは、鈴木 茂、松木恒秀、大村憲司、松原正樹、水谷公生、竹田和夫、秋山一将、矢島 賢という当時のファーストコールたちで、6人がオリジナル曲を持参している。不思議なのは、参加各人がまるで競い合うようにスケール感たっぷりの演奏を展開しているところで、鈴木や水谷はホーンやストリングス入りの大編成を選択。ボズ・スキャッグスをカヴァーした松原、スタッフへの愛情を示した松木は、ツイン・ドラムでレコーディングに臨んだ。また大村はジャズ・スタンダードでブルージーに都会を描き、クリエーションの面々を連れて来た竹田は、得意のブルース・ギターとシブいヴォーカルでニューヨーク女性を表現。やはりビッグ・アップルが放つエネルギーや猥雑感が、スリルやスピード感のある演奏を促すようだ。各人のバックを務める演奏陣の豪華さも要チェック。
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同じ海がテーマでも、『PACIFIC』とは一転、自然と人間文化の調和を異国情緒たっぷりに描いたのが、この『エーゲ海』である。作品を寄せたのは、細野晴臣と松任谷正隆、石川鷹彦の3人。フォーク・ギターやマンドリン、ハープ、ストリングスなどを多用し、繊細且つ深遠、それでいて情熱的なヨーロッパの香りを創出している。特に興味深いのは、YMOの活動をスタートさせた細野が、『PACIFIC』とはまたニュアンスの違った作品を提供しているところ。ドラムは高橋ユキヒロが連続して叩いているが、鍵盤は坂本龍一ではなく、佐藤 博が起用された。石川鷹彦は元六文銭で、日本のアコースティック・ギター奏者の草分け的存在。フォーク全盛期にセッション・ミュージシャンに転身し、今も第一人者として活躍する、今企画に打ってつけのミュージシャンだ。また松任谷は、キーボード奏者というよりは、作編曲者として大所帯のアンサンブルを指揮。<魅せられて>をオープニングに配したのは、きっと彼のアイディアだったに違いない。
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83年になってシリーズの続編的に創られた1枚。作品を提供するのは、『エーゲ海』に続いての松任谷正隆と、看板としては初参加となる佐藤 博、そして初参戦の井上 鑑。全員キーボード奏者なのは偶然だろうが、かつては『NEW YORK』というギター作品があったことを考えると、当時の音楽シーンが短期間で鍵盤楽器主導に擦り変わったことに気づかされる。とりわけ注目すべきは、寺尾聰の『REFLECTIONS』(81年)の大ヒットで脚光を浴びた井上 鑑。だが彼はキーボードは弾かず、作編曲に専念。斬新かつアグレッシヴなサウンド・メイクで、時々プログレシッヴ・ロックからの影響を覗かせた。奥様でフォーク・シンガーのやまがたすみこやBUZZがヴォーカルを取ったのも、当シリーズでは新鮮に映ったようである。また昨年10月に急逝した佐藤の楽曲は、代表作『AWAKENING』の耽美的リリシズムと次作『SAILING BLUSTER』のファンクネスを結びつける重要なポイントに位置し、これも興味深いところ。それに対して松任谷は、前回と違ってアコースティック・ピアノをフィーチャー。ストリングス・シンフォニーとの雅なアンサンブルを聴かせる。
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フュージョン的で超POPなアルバム。YMO結成以前の坂本龍一の名盤!坂本龍一を中心にトップ・アーティストと繰り広げられる8大セッション。"サウンド・イメージ・シリーズ"番外編。元々は、YMOを結成したばかりだった坂本龍一のソロ・プロジェクトで、今はなき六本木ピットインでのライヴ用に組まれたガチンコ勝負の"格闘技セッション"が母体である。参加陣は高橋ユキヒロ、小原礼、鈴木 茂、大村憲司、松原正樹、山下達郎、矢野顕子、吉田美奈子など。ギター・ソロを弾くアドロゥーラ・ザ・ブッシャーは、KYLYNでの盟友;渡辺香津美の変名。作曲には、ライヴには参加していた細野晴臣も名を連ねた。
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TEXT:金澤 寿和 / Toshikazu Kanazawa
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お手持ちのCDプレイヤーで再生可能です。