すべて一発録り。カヴァーされすぎて本質が埋もれてしまった曲たち。本質を墓場から掘り起こして、陽の光を当てたのさ。
このアルバムを作ることは本当に名誉なことだった。
こういうものをずっとやりたいと思っていたが、30人編成向けの複雑なアレンジを5人編成のバンド用に精製する勇気を持つことがなかなかできなかった。
今作の演奏はすべてそれが鍵になっている。
私たちはこれらの曲をこれ以上ないくらい熟知していた。すべて一発録り(ライヴ)で録音した。
すべて1回か2回のテイクで撮り終えた。オーバーダブもしなかった。
ヴォーカル・ブースもヘッドホンも使わなかった。トラックを分けた録音もしなかった。
そして何よりも、録音された時と同じように、そのままミキシングを行なった。
私はこれらの曲はどう見てもカヴァーとは思っていない。
もう十分カヴァーされてきた曲ばかりだから。
実際カヴァーされすぎて本質が埋もれてしまっている。
私とバンドがやっていることは、基本的にその覆い(カヴァー)を外す作業だ。
本質を埋められた墓場から掘り起こして、陽の光を当てたのさ。
BOB DYLAN 2015